2020年3月17日、「そうそう式」なるものがニュースで取り上げられたようです。
葬儀のプロの私に「そうそうしきって何ですか?」と連絡が来たくらいですから、文字にすれば「そう葬式」か「葬そう式」でしょう。
早速、インターネットで検索すると、出てきたのは「葬送式」と「想葬式」。*今回のニュースソースになっていたのは「想葬式」でした。
そこで今回は、どちらも聞きなれない葬儀関係の言葉ですので、葬送式と想葬式をまとめてみました。
そして、新しい葬儀スタイルにも触れて参ります。
葬送式と想葬式の違いとは?
どちらも、「葬儀の式」「葬の儀式」のスタイルです。
一般葬と家族葬との違いは「参列の範囲」です。
「そうそう式」と他の葬式との違いは、葬送式も想葬式も「宗教」が関係していました。
葬送式とは?
インターネットで「葬送式」を調べますと、Weblio辞書では「カトリック教の弔いの儀式」とありました。
また、自衛隊の隊員が亡くなった場合に自衛隊による葬儀で送り出す式も「葬送式」と呼ばれていました。
*自衛隊の「葬送」とは、次のWikipediaでの説明の意味合いでの葬儀式を指していると思います。
Wikipedia➡「葬送」について。
その中には次のようなことが書かれていました。
葬送(そうそう)とは、死者と最後の別れをし、火葬場、墓地に送り出すこと。またそのための儀式。
想葬式とは?
ネーミングとしてはとても良いと思います。
「葬について想う」「想いながら葬儀を行う」、といった「故人を想う」イメージを強く感じます。
ネット検索すると「想葬社」という葬儀社が有りましたが、「想葬式」というネーミングを別のサイトで発見。
新しい葬儀スタイルを提案してる葬儀社が「想葬式」なるものを提案されていました。ここが今回のニュースソースです。
ポータルサイトの「お坊さんのいないお葬式」を管理運営している愛知県名古屋市にあるNine&Partnersという葬儀社でした。
そちらの会社が提案する「想葬式」を簡単にまとめると、「宗教観にとらわれずに故人らしさを自由に演出できるようなお葬式」「遺族や参列者が故人との最後の時間を大切に過ごせるようにプロデュースしてもらえるお葬式」とのこと。
同社が調査したアンケートでは「特定の宗教を信仰し、日ごろ宗教活動をしていない人」が90.3%を占めたにもかかわらず、51,4%が「仏式葬儀の喪主またはその配偶者・子女という立場でお坊さんを呼んだお葬式に携わった経験がある」という回答結果になったとのこと。
そこで宗教観のない人向けに、新しい選択肢として、「想葬式」というサービスを生み出したようです。
要は、「この葬儀社が提案されている想葬式」とは、
「お寺さんや特定の宗教でお葬式の儀式を執り行うのではない宗教色のないお葬式」です。
「想葬式」を調べて感じたことは…?
「お寺さんや特定の宗教でお葬式の儀式を執り行うのではない宗教色のないお葬式」とのコンセプトです。
ところが、実はこのようなお葬式を行うのは難しいのです…。
問題は大きく分けて2点あります。
①お葬式は「葬の儀式=セレモニー」だから、何がしかの厳かな雰囲気や進行がないと、「良かった」と思えるお式になりにくい。
宗教者が来られてお葬式をすると、必ず「葬儀」という儀式をしてくれます。だから、時間的にも進行的にも厳かな雰囲気や時間が生まれます。無宗教で行うと、これがなかなか難しいのです。
しかし、Nine&Partnersという葬儀社が提案する「想葬式」は、式進行もキチンとプロデュースされているので、これは無宗教でお葬式を行うにはとても良いプランだと感じました。
②ご遺族の中で「宗教心が無いからと言って、無宗教で葬式を行いたいと思っている人は少ない」のも現状なのです。
日本で生まれ育っている人で、私も含めて宗教心や特定の宗教を強く信仰している人は滅多に居ません。
神式(神社)と仏教(お寺)とを時々で使い分けて、クリスマスや結婚式はキリスト教式で過ごす我々は、それが悪いことではないと感じます。
時々で違和感なくいくつかの宗教を生活に取り入れているのですから、普段に仏教などを信仰していなくても、「お葬式の時にお経を唱えて貰ったほうが亡くなった人は極楽に行ける」と感じる人が多いのも事実です。
だから、せっかくの「想葬式」という良いネーミングを「宗教色のいないお式だけ」に限定してアピールするのは勿体ない・・・と感じました。
「とっても想いのあるお葬式・心温まる記憶に残るお葬式」といったお葬式は、宗教色が有っても無くても可能です。
これからは、宗教色が有っても宗教色が無くても、お葬式のスタイルがまだまだ変わって行くと感じています。
Katie PhillipsさんによるPixabayからの画像
葬儀の新しいスタイル・形とは?
「家族葬」が主流となった2020年現在、今後は更に新しいスタイルが生まれていくと思っています。
新しいスタイル・形のお葬式
「直葬」「一日葬・ワンデイ葬」も多くなっています。
他のスタイルとしては、「奏葬式」「自宅葬・地元葬」「キャンドル葬・献灯葬」「感謝葬」などの、新しいスタイルもこれからは定着していくと感じています。
昔は、自宅や自宅近くの集会所やお寺でのお葬式が主流でした。
その次に、高齢化でお葬式の件数も増え天候気候に左右されない葬儀会館が便利だということで、葬儀をする場所が「葬儀会館や葬儀式場」に移りました。
その次に、葬儀の時に声を掛ける範囲を決めるような「家族葬」というスタイルが生まれて主流となって行きました。
これらのスタイルは、宗教は関係なく、式のやり方です。
もちろん、無宗教葬もこれからは急速に増えていくと感じています。
お葬式後の供養の仕方や考え方も変わる
お葬式のスタイルだけではなくお墓や仏壇に対する考え方や「供養の仕方」に対する考え方もどんどん変わって行くとも感じます。
宗教観がとても薄れているので、「故人のためにお経を唱えて欲しい」ではなく、「お経を唱えて貰うとか唱えて貰わないとかは、成仏や天国に行くこととは関係ない」といった現実的な考え方の人が増えています。
2030年頃には無宗教でのお葬式がかなり増えて、お葬式後の供養の仕方が「かなり変わっている」と考えます。
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