「家族葬」って、どんなお葬式なんでしょう。
家族だけで行うから、「家族葬」なのか?
そして、家族葬のメリットとデメリットは何でしょうか?
考えてみると、実はあなたも、「よく分からないんだよね…」だと思います。
そこで、葬儀のプロフェッショナルとして、
「家族葬とは」
「家族葬の割合」
「家族葬のメリットとデメリット」
「家族葬の値段(費用)」
について、分かりやすく説明いたします。
家族葬とは?
都市部では家族葬が主流となりました。
家族葬の割合は、全国の都市部のお葬式を平均すればきっと80%以上だと感じます(正確なデータが無いのです…)。
家族葬のスタイルが出だしたのは2005年~2010年頃。
それ以前は、「一般葬」のスタイルのみでした。
自宅や集会場やお寺でお葬式が行われていました。
昔は、「家族葬」の発想もニーズも無かったんです。
高齢化もそれほど進んでいない中では、お葬式はめったに無い不吉な「非日常」な出来事でした。
身内のお葬式のことを存命中に考えたり調べることは「バチ当たり」な感じがします。
だから、事前相談もほぼ無く、亡くなられてから慌てて地元のしきたり通りでお葬式を執り行なっていました。
それが、高齢化が進み、お葬式の件数も増えて「非日常な出来事→少しづつ身近な出来事」に変わって行きます。
核家族化や高齢化と個性の時代とが重なって、家族葬という新しいスタイルが誕生しました。
自宅や集会所やお寺で行われていたお葬式も専用会館や会場で行われるようになりました。
家族葬って? 一般葬って?
さきほど「一般葬」という言葉が出てきましたが、ここで質問です。
「家族葬と一般葬の違い」は何だと思いますか?
簡単に説明すると、
まず「一般葬」とは、
「故人やご家族と縁のある人は誰でもお参りに来てください
=参列して貰いたい人の範囲を限定しない」
お葬式のスタイルです。
「家族葬」は、
「参列して貰いたい人の範囲を限定する」スタイルです。
ご参列者について
参列される方々を大きく3つに分けることが出来ます。
家族葬とは、①②③でそれぞれ、どの範囲までお葬式に参列して貰うかをご遺族が決めるスタイルです。
①家族・身内
②親戚
③それ以外の方々(身内や親せき以外の人・一般の方々)
参列者=①②③の合計です。
「お葬式」を執り行う場合、①②③のそれぞれの人数は家によって違います。
①家族・身内・・・家によって人数は違う
②親戚・・・家によって数が大きく違うし、どこまでの親戚に声を掛けるのか?でも変わる。
家族葬の場合は、親戚のみんなに声を掛ける(知らせる)場合もあるし、一部に声を掛ける場合や全く声を掛けない場合もある。
③それ以外の人・・・友人知人、ご近所など。(①でも②でもない人)
ということは、家族葬と言っても、
・身内だけ
・身内と親戚全部に声を掛ける
・身内と親戚の一部のみ
・身内と仲の良いご近所や友人のみ
など、人数も内容も様々なのです。
家族葬で行う場合の告知のポイント
*家族葬が生まれた最初の頃には、
「家族葬の場合は、声が掛からなければ身内以外は参列はしないほうが良い」
という意味合いが浸透していない時期が有りました。
家族葬で行なう場合は、告知のポイントが2つあります。
①「家族葬で行います」と周囲にキチンと伝える
最近は、「家族葬」という言葉もニュアンスも浸透してきて、「家族葬=声の掛かった人以外は参列しない方が良い」という雰囲気が伝わるようになってきました。
そこで、
「家族葬」でお葬式をする場合は、キチンと「家族葬で致します」と伝えてください。
そして、
来て欲しい人だけに「家族葬でお葬式をするのだけれど、来てもらえる?」と伝えてください。
②家族で、「どこまでの範囲の人にお葬式へ来て貰うか」を意思統一
「全く声を掛けない」
「一部の人(例えば、ご近所の〇〇家と〇〇家、友人の〇〇さん)には参列して貰いたいから声を掛ける」
など、意思統一。
「家族葬」で行う場合は、
「家族で参列の範囲を決めて意思統一しておく」。
家族葬の費用は安くなる?
家族葬は、一般葬に比べて、「たいていは費用が安く」なります。
理由は、
参列の人数が限定され身内中心になる分、見栄を張る必要が無くなり、必要以上の内容のお葬式にしなくて済むからです!
お葬式の実際の負担額とは?
お葬式は、葬儀社などに支払う金額とご遺族の実際の負担額に差が出ます。
「お香典」が関係するからです!
👉一般葬で行なっても家族葬で行なっても、参列者数が変わらないならば「お香典を受けた方が」基本的には実質負担額は「安く」なることが多いのです。
お香典を頂戴すると、
本来は「葬儀費用を助ける」意味が有るので、実際の負担額が少なくなるはずだからです。
<実際の負担額>は「葬儀社や業者への支払い総額」では無く、
【業者への支払い総額-香典受取額 +香典返しなどの費用】
最近は、お香典の受け取りを辞退されるご遺族が増えてきているので、
「一般葬で香典辞退される場合」と「家族葬でされる場合」とを比較すると家族葬のほうが確実に安くなります。
ところが、
「一般葬でお香典を受け取られる場合」は、
金額面だけで考えると、家族葬と比べても「実際の負担額」では安くなる場合も多くあります。
だから、
「家族葬のほうが一般葬よりも安くなる訳では無い」のも事実です。
「お香典辞退」でのアドバイス
家族葬でも一般葬でも、
ご親戚からのお香典は受けられた方が良いとアドバイスをしています。
理由は、この記事の下部で説明しています。
「家族葬」って良いのか?
一般葬をする場合と比べると、金額面で安くなる他にも、メリットが多いのは事実です。
一般的には、参列者が少なくなる分、
「気を遣わなくて良かった」
「ゆったりとお別れが出来た」
など、良い側面は多いです。
だからといって、実は良いとも良くないとも私は言えません…。
交友関係を考えると本来は一般葬にした方が良かった場合が有るからです。
例えば、家族葬で執り行ったお葬式後に、こんなことが起こったりします。
「次から次へと家へお参りに来られたり電話が掛かって来て困った」
「お香典やお供えの品物が郵送されてくるので、逆に受け取りやお返しに手間が掛かった」…。
こんなことになるなら、普通に一般葬でお葬式をしていれば良かった…。
と後悔の声を聴くことがあります。
「メリット・デメリット」で考えれば「メリットが多い時代」に変わっています。
そして、現代社会の都市部では、「家族葬が適した環境」になっています。
しかし、
すべての人が家族葬の方が良いとは限らないので要注意なのです。
家族葬のメリットとデメリット
家族葬のデメリット
「デメリット」というよりは「注意点」です。
注意点は、大きく分けて2点になります。
①故人様やご遺族の交友関係が広いと式後に逆に手間が掛かる場合がある
<交友関係が広いが家族葬にした場合>
お葬式が終わってから「〇〇さんが亡くなられた」事を知った方々から連絡が入り、自宅にお参りに来られたり、お香典やお供え物が郵送で届いたり持って来られたり…。
最近は、「お香典辞退」も増えていますが…
自宅に持って来られたお供え物のお菓子・郵送されたお香典やお供え物は辞退できません…。
これならば、一度にご挨拶や対応できた形の「従来からの一般葬」にしておけば良かった…となってしまうのです。
もちろん、通夜告別式と営んでも、当日に来れない方々は式後に連絡などが有ります。
ところが、一般葬をすればその件数がかなり減ります。
交友関係の広い方は、「一般葬」でお葬式を行えば、トータルで考えると諸々の手間は軽減されるのです。
一般葬でされたお葬式の場合は、式前~式中は忙しいですが、あとは仏式で言う満中陰(49日)法要まではじっくりと準備出来ることになります。
②気持ちの問題
この「気持ちの問題」は、大きく分けて2種類が考えられます。
1・「参列できなかった方々への配慮」。
家族葬で営むと、どうしても行きたくても行けない人や知らせない人が出来てしまいます。
遺族との交友関係は無かったり薄かったりしても、故人との関係が深かった方々は、「知らせて欲しかった」「お参りしたかった」という気持ちを持たれるかもしれません。
交友関係が広い場合は、そういった方々が多くなる可能性が高いのです。
都市部では、近所づきあいもほぼ無く、ご近所や周囲に知らせなくても気を遣うことは少ないケースが多いです。
場合によっては故人が高齢で施設に長らく入所されていたり、故人の友人なども亡くなられてほとんどいらっしゃらない場合もあります。
しかし、「都市部以外」ともなると、簡単に割り切りにくいのも現実です。
この辺りは、それぞれ環境が違いますので総合的にお考え下さい。
2・「遺族にとって、それで良かったのかな?」という気持ちの場合。
最近は、亡くなられる側が生前に「家族葬で良い」とか「安い葬式で良い」って意思表明される場合が増えています。
これは、ご遺族に対しての配慮なのでしょうが、そう言われると、ご遺族はやはりその通りにしてしまいがち。
でも、実際に金銭的な余裕が有るにも関わらず「安めのお葬式」で送った場合・故人の交友関係が広く関係者の多くが元気でご存命の場合は、疑問が残りがちなのです…。
送る側で「最後の儀式なのに、もっと立派に送ってあげたかった」「人と賑やかにするのが好きだったんだから、もっとたくさんの人に知らせて来て貰った方が良かったのでは・・・?」といった疑問です。
お葬式は、亡くなられる側の最後のお別れの儀式ですが、
実は「送る側の気持ちの整理に大事なお別れの儀式」なのです。
送る側は、お式の後でも生活が待っています。
送る側が「納得」できるお式を営むことが実は大事なんです。
送る側は「故人の意思を尊重」することで「納得」される場合も多いですが、出来れば「故人の希望や意思とご遺族の意思が一致するのが理想です。
お葬式を執り行った以上、「心を込めてお送り」出来ていれば、そのスタイルが「その時の選択肢の中で最善のお葬式」だったと私は考えます。
「それが最善だったんだ」と納得して戴きたいのです。
後悔の気持ちを引きずることは、故人の遺志に反します。
「心を込めて出来る範囲の事をする」事が最も大事だと考えます。
家族葬のメリット
上記の注意点に該当しない場合は、家族葬はメリットが大きいので主流となっています。
メリットは、大きく分けて3点です。
①精神的な余裕
参列者を限定することで、気配りや気遣いが当然ながら少なくなります。
精神的に疲れて落ち込んでいる状態です。
落ち着いて、いくぶん余裕をもってお式を行うことが出来ます。
*「忙しいほうが悲しさが紛れる」ということもお聞きしますので一概にメリットと言えない面もあります。しかし、確実に精神的には余裕は出来ます。
②肉体的な余裕
お葬式を行う側は、お葬式前から看病などで肉体的にも疲れている場合が多いものです。そこから、式の準備と式をやり遂げるとなると、疲れは更に増加します。
参列者を限定することで、時間や精神的に余裕が出来ることは、肉体的にも余裕が出来ます。
*お葬式の後に疲れて寝込む人もいます。 こういった観点で考えると、かなり楽にはなります。
③金額面で軽減される場合が多い
「お香典を受け取る・受け取らない」で実際の費用負担額は変わって参りますが、一般葬でお香典を辞退されるよりも家族葬で行なうほうが、必ず安くなります。
また、見栄を張る必要性が低くなるので、葬儀費用が軽減される確率は高いです。
※お葬式後も費用は掛かりますので、ご留意ください。
以下は「葬儀後の費用」です。
・仏壇やお墓
・法要や永代供養などの納骨や供養費
・法要(49日法要いわゆる満中陰法要など)の費用は葬儀費用には含めない
#頂戴したお供え(供花など)にお返しをされる場合は、お供えなどに対する返礼品代金もプラスで必要となります。
お返しをされない場合も多いですが、それはご遺族の判断となります。(皆さんに返さない・皆さんに返礼品を返す・一部に返す)
*家族葬の費用の事を詳しくお知りになりたい場合は「家族葬の場合の気になるお葬式の費用の相場や平均は?」をご覧ください。
ご親戚からのお香典について
ここでは、私の個人的な考えを申し上げます。
ご親戚からのお香典は受け取られた方が良いと感じます。
「お香典辞退」が進む中で、「親戚からも受け取らない」ケースを目にします。
受け取られた方が良い理由をお伝えします。
お香典を持参されたにもかかわらず受け取りを辞退することは、「自分たちの食事代含めて何かと費用の掛かるお葬式なので少しは協力させて」という気持ちを受け取らないことになります。
「我々はお金には困っていない」とか「お世話になりたくない」などと変に受け止められてもこちらの気遣いと逆の効果になってしまいます。
お身内や親戚からのお香典や、法要でのお供えは、お受け取りになられるほうが良いのではないかと、個人的にはアドバイスをしております。
まとめ
「家族葬とは?メリット・デメリットは?一般葬と家族葬の割合、値段などを解説!!」をまとめると以下のようになります。
*「家族葬」は、「参列して貰いたい人の範囲を限定する」スタイル。
「一般葬」とは、「参列して貰いたい人の範囲を限定しない」スタイル。
*参列される方々を大きく3つに分けられる。参列者=①②③の合計。
・家族 ・身内親戚 ・それ以外の方々(身内や親せき以外・一般の方々)
*家族葬の告知のポイントは2点。
・家族葬で行うことを周囲にきちんと伝える。
・「どこまでの範囲の人に参列してもらうか」を家族(遺族)で意思統一。
*家族葬はメリットも多いが、すべての方に適したスタイルとは言えない。
・交友関係の広い方(故人も遺族も:特に故人の交友関係)は要注意。
*家族葬の注意点
・交友関係の広い場合 ・遺族の気持ち的な部分
*家族葬のメリット
・精神的な余裕 ・肉体的な余裕 ・一般葬で行う場合と比べると金額的な負担
これらが少ない場合が多い。
*金額面での注意点
・香典を受けるか受けないかを考える。
・ご親戚からのお香典は受けることをおススメする。
関連記事もご興味のある方は、ぜひともお読みください。
お葬式や仏事のことが、分かりやすくなります。
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