輪廻転生の考えは横に置いといて、誰しも一生に一度きりなのが「生まれること」と「死ぬこと」です。
一度きりのお葬式は、お祝い事ではなく、悲しくツラいお別れの儀式です。
だから、お葬式ってとてもデリケートな部分が有ります。
こちらを検索されたあなたは、「お葬式をやってはいけない日」が有るってどこかで聞かれたのかもしれません。
どんな日で、なぜダメなのかが知りたいのかもしれません。
「お通夜・お葬式をやってはいけない日、ダメな日」と言えば、「友引や大安」を思い浮かべる人も多いかと思います。
私も葬儀業界に入った当初は、「?」がたくさん湧き出て、その都度「なぜ」なのか調べました。
当時は、インターネットなんて普及していませんから、本を読んだり先輩に聞いたり…。
そこで、
これまでの知識と経験で、この辺りを分かりやすく説明します。
この記事を読むと、次の事が分かります。
・お葬式やお通夜をやってはいけない日
・どう対処したら良いのか?
・友引や大安などの意味
通夜・葬式をやってはいけない日、ダメな日はあるの?
ズバリ、答えは「ありません」。
「友引にやっちゃいけない」とか聞きますが、実は関係ないのです。
「迷信」なんです。
しかし、家の都合や周囲の都合を考えて、避ける場合は有ります。
例えば、
・故人様の子供さんが海外や遠方に住んでいる
・お祭りの時期なので周囲に気を遣って
・元旦は避けて
などといった理由で延ばされることは有ります。
逆に、どうしても仕事の都合で早くにお葬式を執り行いたい場合も有ります。
例えば、本来だったら明日の夜にお通夜だけれど、無理をして今晩にお通夜を行うって流れで、普通よりも無理をしてでも前倒しをする場合も有ります。
ところが、「やってはいけない日なんて無い」のです。
六曜の「友引や大安」にお葬式はやってはいけないんじゃないの?
「やってはいけない日」として一番気にされるのが、「友引」の日です。
次に、結婚式やお祝い事が行われることが多い「大安」の日にやっても良いの?」です。
では、「友引にやってはダメ」と言っている人に「なぜ?」って質問してください。
答えはきっとこう返ってきます。「友を引っ張るから」と。
次に、「じゃあ、友引ってどんな日」って質問しても「答えられない」はずです。
「友引とは〇〇な日だからお葬式はダメ」という明確な答えは、100%誰からも返ってこないでしょう…。
理由は、「根拠がないんです…。漢字からの連想のこじつけ」だからです。
では、友引にお葬式やお通夜は良いの?
結論からお伝えするとお通夜も告別式も大丈夫です!
本来は、
「まったく気にすることは有りません」。
と言っても、気にする人が居てるのは事実です。
友引にお葬式を行うのを気にするのは、やはり年配の方々でしょう。
「友引の日に葬儀告別式や火葬を行うと、友を引き連れていく」と、特に昭和の時代は避けられてきました。
だから、わざわざ延期して、友引の日に出棺(火葬)しないように気を付けていました。
例えば、「友引の日にお通夜を営んで翌日に葬儀告別式を行って出棺」という流れです。
長い間、六曜の迷信を気にして生活をしてこられた年配の方々は、「気にしなくても良い」って言われても気になるはずです…。
この点について、次で書き進めます。
友引や大安にお葬式は問題ないって言われても…。じゃあ、どうすれば良いの?
「友引に葬儀告別式や火葬をしないほうが良い」や「49日法要いわゆる満中陰法要は3カ月にまたがらないようにした方が良い」といった話は迷信です!
ところが、気にする人は気にします。
お葬式は「死」という出来事に関連しますので、縁起でもないことは考えたくもなく、縁起の悪いことは避けたい気持ちはとっても分かります。
だから、身内に気にされる方がいらっしゃるのなら、無理をして「友引の日に告別式」をされなくても良いと思います。
延期すれば良いのです。
答えとすれば、
気にする必要は無いし、お通夜や告別式をやってはいけない日なんてないけれども、周りが気にされるのならば、避ければ良いのです。
ところが、
どうしてもスケジュールや状況の都合で、友引や大安にお葬式(葬儀告別式)を行なわなければならないならば、「バチなど当たらないので、気にされることは無い」ということになります。
「気にしなくて良いけれども、念のために友引だから葬儀告別式を1日延期する」のも、「家の都合で葬儀を早める場合も遅らせる場合も有る」のも、参加者の都合に合わせて仕方の無いことです。
いずれの場合でも、「心を込めてお見送り」をすれば、悪いことなど全くありません!!
葬儀の現場では、「友引を気にする人は年々減っています」。
理由は2つです。
・お寺様も「気にしなくて良い」と言われるから。
・気にしなくても良いと分かってきたから。
昔は、友引を休業日にしている火葬場も多かったようです。(避ける人が多かったので休みにしていたようです)
最近は、そんな火葬場は少なくなりました。
運営する側として、友引に休んでいると、「迷信を助長していると逆に非難される」からです。
「気にしなくても良いから無理して延ばす必要もなく、どうしても気になるなら延ばしても良い」が私の見解です。要は、どちらでも問題はないです。
1番大事なこと、それは「気持ち良くお送りをする」ことです。
※「友引だから延期します」という理由で日延べをした場合、お寺様が「そんなことを気にするのはおかしいので日延べはせずにやりましょう」と言われる場合が多いです。
その場合は、周囲に気にされる方がいらっしゃってもお寺様の言うことなら大丈夫だと納得される場合も有ります。
お寺様が言われても周囲の方で抵抗の強い人がいらっしゃる場合はお寺様と相談をすれば、お寺さんも日延べは了承されると思います。
友引にお葬式をやってはいけない理由を誰も答えられない理由とは?
ここで、日本文化の特徴の一つをお伝えします。
日本では昔から「語呂合わせ」や「文字からの連想」をすごく気にする傾向が強いんです。
これは、日本文化の特徴です。
日本は「外国の文化を上手く日本に取り入れて独自に解釈したり独自に発展」させて今に至っています。
友引や大安も、中国から伝わった【六曜】を日本独自に解釈し時代と共に変わり続けて、今ではまったく違う形で取り入れちゃっているモノなのです。
六曜はキチンとした記録が残っていなくて、大昔は今ほど生活に取り入れてなかった上に、中国から日本上陸以降の長年で形が変わってしまっているので、誰も正確な理由を説明出来ないのです…。
では、なぜ友引や大安は気にするの?
友引は、前述したように「友を引っ張るかもしれないから」「道連れにされるかもしれないから」です。
漢字の文字からの連想です…。
大安は、「大きな安心や安らぎ」を文字から連想しますので、結婚式などのお祝い事に好んで選ばれる日です。
字からの連想が「大きな安らぎ」ならば、お葬式にも良さそうな漢字の並びですが、「お祝い事に選ばれる日をお葬式に使うのは良くない」という発想です。
この「大安は結婚式に良き日」というのも、実は迷信なのです。
六曜を気にされる年配の人は、そういった文化で長年育ってきたので仕方は有りません。
漢字文化の良いところでもありますが、悪いところでもあるのが、「漢字からの連想」です。
お葬式をやってはいけない日は無いですし、「六曜」は本来はまったく意味のないことですので、何をするにしても六曜を気にすることは有りません。
最近は、「六曜を使用することは、差別を助長する」といった理由で、六曜を廃止しようといった動きも有るようです。
迷信や科学的な根拠のないことを信じることは偏見や差別を生み出すという訳です。
おかしいと感じていたり・おかしいとは深く考えてなくても、周囲がやっているから同じように行動している。
だから、おかしな慣習がいつまでも残っていくということです。
最近は、時代と共に変わって来ています。
友引や大安や仏滅などの六曜って?
そもそも、「六曜」って何なんでしょうか?
友引含めて六曜の日に対する吉凶の解釈は迷信でしかありません。
仏教とも関係なく、中国から入ってきた当初の形や意味とは全くかけ離れたものになっているので、正直、意味のないものです。
六曜伝来の記録も大したものが無く、調べても正確なことは分かりません。
いまでは、年々気にされなくなっていて、何かの際の「縁起担ぎ」です。
少しでも縁起を良くしたいから取り入れている形です。
※六曜とは、<ろくよう・りくよう>と読み、
<先勝・先負・友引・仏滅・大安・赤口>の6種類です。
☟六曜を詳しく知りたい場合は☟
「六曜とは?読み方や意味、順番の法則や縁起との関係」をご覧ください。
六曜と仏教とは関係あるの?
まったく関係は有りません。
六曜に、「仏滅」という言葉があります。
また、「友引にお葬式をしないほうが良い」とも聞きますと、六曜と仏教には関係があるように勘違いします。
実は、残念ながら何の関係もないのです。
お寺さんに「友引(六曜)と仏教とは関係あるのですか?」と質問したら、「全く関係ないよ」と答えます。
そして、浄土真宗全体では「迷信を信じないように!」と指導されています。
だから、浄土真宗のお寺さんは「友引にお葬式することは全く気にすることはない」と言われます。
浄土真宗は、お葬式が終わってから「清めるために自分の体に塩を掛ける」こと自体も「迷信」として「気にすることは無い」としています。
なぜ「友引」なの?(友引のルーツは「留引」や「共引」)
中国から六曜が伝わった鎌倉時代後期には、「友引」という字ではなく、当時は「留引」だったようですが、調べても正確なことが出てきません。
「もともと友引ではないことは確か」のようで、現在の友引に変わった経緯は2種類の説が有りました。
1・「留引」は「りゅういん:ゆういん」と読むのですが、訓読みでは「とめひき」なので、「とめひき⇒とめびき⇒ともびき」と発音が変わって漢字も変わって留(とめ)が友(とも)になったという説も有りました。
また、「留引」が「共引」に変わり、「共に引く日=勝敗の付かない日」とされていた時期があるようです。
それがいつの間にか「友引」に変わったとの説もあります。
2・時代とともに六曜自体が変わっていった流れで、いつしか「友引」になっている説。
室町時代:大安・留連・速喜・赤口・小吉・空亡
江戸時代:泰安・流連・則吉・赤口・周吉・虚亡
現 在 :大安・友引・先負・赤口・先勝・仏滅
*上記のような変化をしたとも言われています*
1や2の説があって、六曜はキチンとした記録が残っていないことから分かるように、大昔は今ほど生活に取り入れておらず、江戸の後期や明治時代から今のように使われるようになったとのこと。
いずれにしても、六曜は、もともとの中国から入ってきた当時の経緯も定かではなく、そこから日本式に形が変わって行き、いつの間にか「その日を占う」占いのようになっているのが現状です。
役所では、現在でも年号は「昭和、平成、令和などの和暦」を使用します。
ところが、役所のカレンダーは「六曜は迷信という理由で使用は禁止」されています。
昔の六曜の使われ方
日本伝来当時の六曜のことは、調べても詳しくは出て来ないので、当時はそれほど大きな意味はなかったと思われます。
(六曜は大事ではなかったといった表現も見受けられます)
今の曜日の一種だとも書かれています。
現在は、曜日は7種類ですが(日本では日~土を使用)、昔は6種類だったと思います。
昔の使い方は、今の月曜・火曜・水曜のような使い方です。
月の満ち欠けで1カ月を考えると「約30日」で「6では割り切れるが7では割り切れない」のです。
1週間が7日という考え方は、西洋から入って来たモノです。
本来の曜日の考え方では、「月曜日は結婚に向いている日・火曜日はお葬式をしちゃいけない日」なんて、曜日でその日の吉凶を決めません。
まとめ
今回にまとめた内容から、「お葬式をやってはいけない日など無い」という理由が分かって頂けたかと思います。
そして、「六曜は、実は、お葬式以外でもまったく気にしなくても良い」という結論にもなりますが…。
でも、気になってしまう人の気持ちも分かります。
だから、気にしても良いと思います。
しかし、若い世代になるにつれて、「六曜」自体を知らない人が増えて来ています。
現在、六曜を気にされている方は、主に昭和20年頃生まれの人より年上の年配層で、それ以降の若い年齢になればなるほど、気にする人が減っています。
現在の若者は、「六曜や大安や友引や仏滅」といった言葉を知らない人が多いようです。
生活になじみが無いので、知らなくても当然です。
今後は、気にしない流れにどんどんなっていくと感じますし、早く迷信などを信じないような社会になって欲しいものです。
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