カレンダーに小さく、「大安とか赤口とか先勝」って書いてたりします。
そして、大安に結婚式を挙げると縁起が良いとか、友引にお葬式をするのは良くないとかって聞いたこともあるかと思います。
「それって、なぜ? それって、ホント? カレンダーに書いている先勝とか先負とか何なの?」
こちらに訪れたあなたは、きっと、そんな疑問を持っているのかもしれません。結婚や何かをするに当たって、ゲン担ぎ(かつぎ)をするために、大安などの六曜について調べたいのだと思います。
その前提で、六曜と関係が深い冠婚葬祭の仕事を長年経験している私が「六曜とは、読み方や意味、順番や縁起が良いのか悪いのか」をストレートに記事にしてみました。
六曜とは?
最初に結論からお伝えします。
いわゆる六曜は、<現在は「日に対する吉凶を占うもの」であり、残念ながらそれは迷信でしかありません・・・。中国から入ってきた当初の使われ方や意味とは全くかけ離れたものに日本独自で変わっていったのです。だから、何の根拠もないもの>なのです。
中国に有った原型も、すでに中国では使われていないのですね・・・。
六曜とは、文字通り、6種類です。
<六曜:ろくよう・りくよう>と読みます。
<先勝・先負・友引・仏滅・大安・赤口>の6種類が有ります。
いつ、どこからどのように伝わったのか?
中国から朝鮮半島経由で日本に伝わったのは鎌倉時代後期と言われています。キチンとした経緯が残っていないことからも推理できるように、他の物と一緒に伝来した「中国からの情報の1つ」だと考えられます。「中国では、こんな暦を使っているそうだ」みたいな感じだったと想像できます。そこから次第に形が変わって現在に至っています。
六曜のこれまでの経緯
記録を調べると、下記のような結果です。
室町時代 の記録:大安・留連・速喜・赤口・小吉・空亡
江戸中期での記録:泰安・流連・則吉・赤口・周吉・虚亡
江戸後期 ~現在:大安・友引・先負・赤口・先勝・仏滅
☝上記で、例えば「友引」を見てください。
「もともと友引ではなく留連」から始まっています。「友引」は日本に伝わった当初は「留引」という字だったようですが、調べても正確なことが出てきません。その後に、留連→流連→友引に変化しています。
(「赤口」以外は時代とともにすべて変わってます)
【現在の友引に変わった経緯は2種類の説が有ります】
①「留引」は「りゅういん:ゆういん」と読むのですが、訓読みでは「とめひき」なので、「とめひき⇒とめびき⇒ともびき」と発音が変わって漢字も変わって留(とめ)が友(とも)になったという説。
しかし、この説は、留引から直ぐに友引に変化したなら納得できますが、途中で留連や流連を挟んでいるので、私には「?」で納得できません。
②上記の表の通り時代とともに六曜自体が変わっていった流れで、いつしか「友引」になっている説。
キチンとした文献が残っていないのですが、流連から友引の間に「共引」という時期が有ったようです。「共引」という言葉は「共に引く=勝敗や決着が付かない」そういう意味だったようです。そこから、漢字が変わって「友引」になったという説です。こちらが有力だと思います。
いずれにしても、この友引の例え話でも分かるように、六曜は、もともとの中国から入ってきた当時の経緯も定かではなく、そこから日本式に形が変わって行き、いつの間にか「その日の吉凶」の占いのようになっているのが現状です。
役所は、現在でも年号は「和暦・・・昭和、平成、令和など」を使用します。ところが、六曜の経緯が定かではなく根拠も無いといった理由で、役所の正式なカレンダーでは六曜の使用が禁止されています。
仏教とは関係あるのか?
六曜には「仏滅」という日が有ります。そして、「友引」にお葬式をしないほうが良いと聞いたこともあるかもしれません。
仏教と六曜はどんな関係が有るのでしょうか?
そこで、お寺さんに「六曜と仏教とは関係あるのですか?」と質問します。
「全く関係ないよ」と答えが返ってきます。
また、浄土真宗全体では「迷信を信じないように」と指導されていますので、浄土真宗のお寺さんは「友引にお葬式することは全く気にしなくて良い」と言われます。
日本で一番多い宗旨が「仏教」、その中で檀家数の一番多い宗派が浄土真宗。浄土真宗としては「迷信は信じるべきではない」という基本的な考えで、宗祖の親鸞聖人は「日の吉凶を選ぶことは良くない」と説かれています。また、浄土真宗は「お葬式に参列して家に入る時に塩で清める」ことも強く批判されています。「死は怖いものでも不浄なことでもないので、清める必要はない。人の死に接することで命の大事さや有難さを再確認できる」というような考えをされています。
☟お葬式と友引の関係は別記事☟
「お通夜・お葬式をやってはいけない日、ダメな日ってあるの?」をご覧ください。
六曜の本来の役割。六曜と旧暦。
日本伝来当時の六曜のことは、調べても詳しくは出て来ません。
「六曜」なので、6種類の曜日を表す言葉だったと考えられます。
言い換えると、今の曜日の一種ですね。現在は、曜日は7種類ですが(日本では日~土を使用)、昔は6種類だったと考えられます。昔の使い方での、今の月曜・火曜・水曜・・・のような使い方です。
今の曜日の考え方で、「月曜日は結婚に向いている日・火曜日はお葬式をしちゃいけない日」なんて、曜日でその日の吉凶を決めません。今の六曜の使われ方は、あくまでも「占い」的に迷信が残ってしまっている状態です。
<昔の曜日は今の7種類の曜日ではなく6種類だった>という理由は、昔は「太陰暦」だったので「月の満ち欠けで月日を決めていた」ことに関係します。現在、我々は「太陽暦」を使っていて「地球が太陽を1周回る周期で1年を決めています」。
太陰暦は「月の満ち欠け」を中心に考えます。月の満ち欠けの周期は約29.5日、ほぼ「30日」です。「6で割り切れる」のです。それを12回並べると1年です。この考えでは、まず「月」が有って、その積み重ねが「年」です。12回繰り返すと、約1年になります。
いまでも12カ月なのは、太陽暦を採用する前は太陰暦を使っていたので、そのまま12で分けたのです。
これに対して、太陽暦は、まず、「地球が太陽を1周回るのを1年」として、それを分割すると「月」です。
【このように、太陰暦では月が基本の単位でそこから年を考えていますが、太陽暦では年が基本の単位でそこから月を考えています】
☟「暦」も興味深い話なので、興味のある方はこちらをご覧ください☟
六曜のそれぞれの読みと今の意味
いまの日本で使われている六曜は、日本独自に形が変わった科学的やデータ的な根拠のない「その日の吉凶占い」になってしまっているのは、お判り頂けたかと思います。
だから、私としては推奨することは書けません。そこで、それぞれの六曜については簡単に説明することに留めますのでご理解ください。
でもですよ、この時事を読んで頂いたからには、読み方などの基本知識を共有したいと思います。
六曜の読み方
六曜は<ろくよう>が一般的ですが<りくよう>とも読みます。
文字通り6種類あります。
先勝(さきがち・せんしょう・せんがち)
字のごとく「先んずれば勝ち」と解釈されてしまい、万事に急ぐことが良いとされる。先が勝つので「午前中が良い」とされている。
先負(さきまけ・せんまけ・せんぷ・せんぶ)
字のごとく「先んずれば負ける」という、先勝の逆の解釈の日です。急ぎごとや勝負事は避けて、相手が仕掛けてくるのを待つのが良いとされる。先が負けるので「午前中は良くない」とされています。
友引(ともびき・ゆういん)
昔は、「共引」という字の時代もあって、「何事にも引き分けて勝負がつかない日」とされていました。「正午辺りが良くない」とされています。
「友引にお葬式をしてはダメ」というのも、まったくの迷信です。
仏滅(ぶつめつ)
字のごとく「仏も滅するような悪い日」と解釈されてしまっています。しかし、もともとは、「空亡」であり、その後に「物滅」に変わった時代も有って、現在の「仏滅」に至っているので、本来は仏とは何の関係も有りません・・・。「物滅」にちなんで、「仏事や別れには良い日」とか、「改めて何かをスタートするには良い日」との解釈もあるようです。
大安(たいあん・だいあん)
大安吉日とも呼ばれ、字のごとく「大いに安し」です。安は「安全・安心・平安」で使われる漢字です。そこで「万事において吉の日」と解釈されてしまっています。「悪い時間帯は無い」ようです。
赤口(しゃっこう・しゃっく・せきぐち)
この場合の赤は「赤=太陽」を意味します。赤道は太陽の通り道の事を指します。太陽と関連して、「真昼間=正午辺りが良い」とされ「それ以外は良くない」ようです・・・。そして、この日は、「赤=火」で、火の元に注意することや:「赤=血」で、刃物を使う人たちはけがに気を付けるべし、とのこと。とっても、こじつけ感を感じます。
六曜の並ぶ順番と順番の法則
ルールは2つのルールで並びが決まっています。
①基本的な並びの順は「先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口」
「勝友負仏大赤字」と覚えると覚えやすいですが、基本的には覚える必要はないと思います(笑)
②日本の旧暦での毎月の一日は、六曜が決められている。
その月は決められた六曜からスタートします。日本の昔の旧暦に置き換えての毎月一日(ついたち)は下記の六曜からスタートしています。六曜の並びを見ていると規則的と思いきや、ところどころ不規則になっているのは、このルールのためです。日本の旧暦の毎月1日になると置き換わって、急に六曜が飛んでいます。
1月・ 7月:先勝
2月・ 8月:友引
3月・ 9月:先負
4月・10月:仏滅
5月・11月:大安
6月・12月:赤口
縁起との関係
<縁起の良い順番>を書いている記事も有りますが、こちらでは、まず「六曜それぞれに善し悪しは無い」と考えます。そんな理由から、「善し悪しの順番も無く、それらを信じる意味も無い」という考えをしています。
まとめ
六曜についてまとめましたが、調べれば調べるほどに、信じる必要が無いことだと感じます。ところが、世の中には、六曜などを凄く気にして生活をされている方々もいらっしゃるようです。たいていの人は、「念のため・安心のため」に、結婚式やお葬式や家を買う・引越しをするなど、気になる日に限って六曜を見て日取りを決める参考にされています。
若い人達は、六曜の事に関心を持っていない人や、六曜の存在さえ知らない人がたくさんいると思いますが、そんな人達も、自分が結婚する時には大安の日を選んだり六曜を気にしたりすることと思います。
その気持ちは分かりますし、悪いことではなくて自然だとも思います。特に、身内の年配の方が気にしたり、周囲に対する常識として気にしたりする場合も多いです。
でも、「本来は気にしなくても良いんだ」ということを知っているのと知らないのとでは大違いです。
また、気にする必要などないと実感した人が、気にせずに行動することに繋がれば、迷信が無くなることに少しでも繋がったことになります。というのは、「迷信を信じるのは、根拠のない古いしきたりを妄信することなので、あまり良いとは言えない」からです。
信じている人に「間違っているよ」とわざわざ伝える必要はないと思いますので、これを読んだ方々のうちで、1人でも多くの方が、「六曜は気にしなくて良いんだ」と理解してくだされば、これをまとめた甲斐が有ったので嬉しいです。
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