お通夜・お葬式や法事に行く際は、喜びごとではないので気が重くなりがち。
それに加えて、「そういう場だからキチンとしなきゃ」と思ってネット検索。
結構、お堅いことが書いてあって「面倒だな…」と感じちゃいます。
その気持ち、葬儀の専門家の私にも分かります。
「その通り」です!
お堅い場所に行くのに堅苦しく考えると、面倒な気分になります。
実際は、そんなに堅苦しく考える必要は有りません!
お葬式や法事に参加する理由とは?
お葬式や法事に人が集まるのは、「故人に会うため・ご遺族に会うため」です。
簡単に説明すると、
【お通夜やお葬式】なら「故人に敬意を表して、ご遺族にご挨拶をする」ためでもあります。
【法事】は「故人を想い出し、故人のご縁で関係者が集まってご縁を深める」意味が有ります。
ということは、「本来は服装は重要ではない」はずです。
では、なぜ服装にも気を付けるのでしょう?
理由は、
お葬式はご遺族や関係者が悲しみの中ですので、その気持ちを察した気遣いが必要です。
言い換えると、
「参加する気持ちと、周囲の空気を察する気持ち」両方が大事なのです。
ということは、
周囲の空気を気遣う為のルールやマナーを押さえれば、本来は服装に気を遣いすぎることは有りません。
お葬式や法事の大前提:ルールとマナー
この「周囲の空気を気遣う為のルールとマナー」さえ押さえておけば、それ以上に堅く考える必要は無いと私は思っています。
たいていは、「ルールやマナー」がいくつもあるから堅苦しくなるのですが、本来はたくさんのルールやマナーは無く、至ってシンプルな事柄なのです。
3つのルールと2つのマナーだけです!
この3つのルールと2つのマナーは、服だけではなく「お葬式・法事の全般」に当てはまります。
ということは、お葬式や法事のスーツだけではなく・靴や靴下・シャツやベルト・アクセサリーなど、基本の考えは同じです。
お葬式と法事の服装・3つのルール
基本のルールは、お葬式も結婚式も同じです。
1・主人公は自分ではない。
お葬式の主人公は故人様、そしてご遺族です。結婚式は、新郎新婦、そしてご両家です。
2・主人公よりも目立ってはいけない。
主人公は自分ではないので、役どころは「主人公を引き立てる脇役」。
目指すは「名わき役」です。
3・セレモニーの邪魔になってはいけない。邪魔をしてはいけない。
だから、周囲の雰囲気を乱すことはしてはいけないんです。
お葬式と法事の服装・2つのマナー
マナーは、お葬式と結婚式では違います。
お葬式のマナーは基本的に2つ。
1・悲しみごとなので「明るい・派手ではない」服装やスタイル、行動。
そこで、赤や金色を避けることが多くなります。当然、大きな声で話したり笑ったりもしません。
2・出席するに当たって「失礼ではない」服装。
「カジュアルすぎる」「露出が多い」はNGです。
【常識】を持ち出す人がいますが、常識って判断が難しいです…。
常識って簡単に言えば「たくさんの人が正しい・そうあるべきだ、と思っている認識」が「常識」だと思います。
でも、時代によって変わるし、年代や地域でも変わってきます。
だから、「常識」って人によって違うので、何が常識かなんて定義できません…。
ということは、
「常識はそんなに気にしなくても良い」ことになります。
➡「ルールとマナーさえ押さえておけば、人の常識と自分の常識には違う部分が有るから気にしなくても良い」ってことです。
もし気にするならば、「ルールとマナー」を押さえつつ「自分の周りの人と同じようにする」と無難です。
具体的に言えば、法事の時には「黒のスーツか?ネクタイは黒か?」が気になります。そんな時は、参加予定の親戚に「どんな服装で行くのか?」を聞いて、同じチョイスにすれば良いのです。
細かいことは気にし過ぎなくて大丈夫です。
この「ルールとマナーと常識」は、お葬式も法事も基本は同じ考えです。
*「髪の毛の色や髪形」については、このルールとマナーの範囲内であれば、わざわざ色を染めたり髪形を変える必要は無いと思います。
*あとは、参加される周囲の雰囲気と自分との関係性で判断するしか有りません。
喪服とは?
すでに、ここまでで答えを出してしまっていますが、もう少し細かく解説します。
では、ここからは少し堅い内容になるので、シンプルにまとめていきます。
まず「喪」とは?
漢字ペディアによると以下の意味が書いてました。
①「人の死後、近親者が一定期間悲しみの意を表す期間」
②「うしなう・なくす」 引用先:漢字ペディア20200531
ということは、「喪服」とは「悲しみを表す服装」と考えられます。
「喪服」とは?
「喪服」も調べました。
では、「喪服」についてもう少し説明して参ります。
弔事(お葬式や法事)の時の服とは?
お葬式に参列する場合は略礼服がベターですが、法事の場合は略礼服かTPOを考えた地味な服装となります。
日本の略礼服は、男性も女性も「ブラック」の装いで、男女とも「ブラックスーツ」となります。
「スーツ」ということは「揃っている」ことを意味しますので、「生地が同じ」もしくは「同じような生地」ならば、上下の組合せをしても大丈夫です。
女性は「黒のジャケットと黒のワンピース」も一般的です。
お葬式と法事での基本的な服装のルールのまとめ
「基本的で無難なルール」を説明します。
通夜やお葬式の際の場合:洋服(洋装)の日本でのルール
基本的なルールは下記の通りです。
- 「上下は黒」
- 「シャツは白」(女性の場合、ノーネクタイで黒のブラウスもOK)
- 「ネクタイは黒」
- 「靴下は基本は黒」
- 「ストッキングは黒でも肌色でも大丈夫」
- 「靴は黒、できれば、エナメルや爬虫類などの皮や裏皮(起毛)は避けて、飾りのないシンプルな表皮の黒い靴」
- 「デザイン性の無いもので、シンプルなデザインのものを選ぶ」
- 「華美な装飾品は付けず、女性で付けるならパール」
法事の場合:洋服(洋装)の日本でのルール
法事の場合は、「平服にてお越しください」と案内状に書かれていたりします。
それでも、
49日法要(満中陰法要とも言う)と1周忌までは、上記のお葬式とは大して変わらないと思ったほうが無難です。
ネクタイは黒でなくともシルバーやダークなネクタイでも大丈夫です。
出来れば、
3回忌以降の法事も、ブラックスーツで行くのが無難です。
しかし、ほかの服装でも地味でマナーを押さえていれば大丈夫です。
「礼服」とは?
Wikipediaによりますと、下記の説明があります。
礼服(れいふく)は、冠婚葬祭の儀式典礼といった、改まった席で着用する衣服。洋装の場合は、フォーマルウェアともいう。礼服の着装状態を礼装といい、衣服の格式によって、正装や略装、正礼装、準礼装、略礼装、平服などと区別される場合がある。
引用元: ウィキペディア(Wikipedia)日本語版:2020年3月19日
このように、礼服にはいくつかの種類が有ります。
今回のテーマ「お葬式や法事の時の服装」では、「略礼装=略礼服」となります。
礼服の定義としてWikipediaに以下のように書かれています。
礼服は、一般に「冠婚葬祭」の儀礼において着用される。日英のフォーマルウェアを研究する清家壽子は、それらを「慶事のシーン」「弔事のシーン」に大別し、それぞれに下記のシーンを挙げている。シーンの場所や目的、参列者の顔ぶれ、すなわち「T.P.O.」によって、ふさわしい装いを着分ける必要がある。礼服着装のルールは時代とともに変化するが、ルールの基本精神は人間関係を快く保つことである
引用元:ウィキペディア(Wikipedia)日本語版:2020年3月19日
*慶事とはお慶(よろこ)び事なので、めでたい場です。
「結婚式・披露宴」「公的なパーティー」「記念式典などの式典」「入学式や卒業式」「私的なお祝い事:お宮参りや誕生パーティーなど」が慶事に当たります。
*弔事は、「通夜、葬儀、告別式、法事(法要)」です。
お葬式に参列する、法事に出席する、結婚式に出席する。
これらはすべて「略礼服」でOKです。
それより上のランクの服装は、逆に失礼になります。
例えば、結婚式や葬式・法事に参列する側はタキシードを着用しては失礼になります。
参列する側以外のお葬式や法事を行う側(喪主や施主側)でも、「略礼服」で大丈夫です。
お葬式の場合、喪主がタキシードを着用することも有りますが、大規模のお葬式のみで、このようなお葬式は滅多に有りません。
「T.P.O.」をわきまえれば大丈夫
お葬式や法事や結婚式に参列する場合の「ふさわしい装い」が「略礼服」となります。
「ふさわしい」という表現は、「無難な・ベターな」と考えて貰って大丈夫です!
特に、お葬式や法事は「喪に服する」意味が有るので、略礼服が無難ですが、事情が有れば「必ず略礼服でなければ失礼か?」という訳ではありません。
略礼服が無い場合は、上にまとめたマナーやルールを基に「TPO」を考えればOKです。
TPOは、日本語で言う「時と場合」です。
T(time:時)
P(place:場所)
O(occasion:場合)
「どうしても略礼服が必要な場合」は、下記の記事を参考にしてください。
👉【喪服・礼服レンタル】太って入らない…急なお葬式や目前の結婚式。これで夏も冬も安心!おまけにマタニティ・授乳対応も!!
また、「ルールは時代とともに変化する」とWikipediaにも書いています。
昔は、男性の場合は「略礼服=黒のダブルのスーツ」、女性の場合は「着物」のようなイメージが有りました。
ところが、現在のお葬式では、
男性は「黒のシングルのスーツ」・女性は遺族で有っても「黒のパンツスーツやスカート、ワンピース」が主流です。
(もちろん、ダブルのスーツでも着物でも大丈夫です!)
男性の白いワイシャツも、昔はボタンダウンのシャツは、カジュアルな位置づけで略礼服にはマナー上「ふさわしくない」とされていました。
シャツとして売っている種類も少なかったのです。
しかし、最近では、さまざまな襟の種類が販売されていて、ボタンダウンのシャツはカジュアルではなくノーマルな位置づけになっています。
現在では、ボタンダウンのシャツは略礼服に合わせて失礼では有りません。
まさに、時代とともに変化しています。
スーツ(上下セット)以外はダメなの?
服屋さんで「礼服」や「略礼服」として「スーツ」で売っている物ではなくても、大丈夫です。
「礼服としての販売」しているスーツは、普通のスーツよりも値段が高めの気がします。
それは「服屋さんの都合」で有って、それに合わせる必要はないと考えます。
ということで、
「セットアップ」と言われる、「上下ばら売り」の服でもOKです。
買う側にとって安心な順番は、
①礼服販売のスーツ
②ブラックスーツ
③セットアップの同じ生地ブラック上下
④生地違いの黒の上下
でしょうが、
実は気にしすぎる必要はありません。
それより気になるのは、
「着こなし」です。
略礼服の「着こなし」の5つの注意点
値段の高い服でも、値段の安い服でも、着こなせていないと「どちらもNG」です。
冠婚葬祭の仕事をしていると、「ブラックスーツ」が制服のようなものですが、きちんと着こなしているスタッフは、仮に工夫をして安いスーツを手に入れていても「高いスーツ」を着ているように見えます。
程度の良い品物を手ごろな価格で見つけることは、悪いことでも恥ずかしいことでもなく、工夫だと感じます。
略礼服の着こなし:5つの注意点
①ブラックの色や生地が、上下ともに同じ。もしくは同じように見える組合せ。
②サイズが自分の体型に合っている。(ジャケットもボトムスも。シャツや靴も)
③しわや汚れ・シミが無い清潔でキレイな状態で着用する。(服・シャツ・靴も)
④服の臭いや香水などの匂いがキツくないか気を付ける。
⑤見えにくいところも気を付ける。(靴下の色や、靴下やストッキングの破れ、ボタンをキチンと留めるなど)
この5つさえ気を付ければ、服の値段は関係ありません。
言い換えますと、
「服の値段よりも、この5つの注意点のほうが重要」となります。
だから、この5つの注意点を守れば、値段は関係なく何の問題も無いのでご安心ください。
喪服(お葬式の服)を購入する際の注意点
わざわざ「フォーマルスーツ」を選ばなくとも「セットアップ」で上下のスーツにしてしまえば大丈夫です。
注意点は、
「上下とも出来れば同じ生地で同じ黒色のものを選ぶ」。
もしくは、「同じ黒色でも生地が違う場合は、同じように見える生地で同じような黒の色を選ぶ」。
言い換えると、
「同じ黒でも色にも織り方にも種類が有るので、同じような色で同じような素材に見えない場合は、その組合せはやめておいた方が無難」です。
ユニクロなどで、上下とも同じ生地で同じ黒の色のジャケットもズボンもスカートも有ります。
「スーツ」としてセット販売されていなくても大丈夫です。
👉ユニクロの喪服は失礼?(こちらの記事の前半分でユニクロの礼服の紹介をしています。後半は、こちらの記事のまとめ内容です)
最後に
体裁よりも「参列する、出席する」ほうが大事なので、この記事の最初に説明したマナーさえ守れば、細かいことまで気にしなくて大丈夫です。
お通夜やお葬式の場合、地味でコーディネイトさえおかしくなければ、失礼ではありません。
「駆けつけてくれてありがとう」なのです。
*お通夜の場合➡急に駆けつける場合は、準備などできません。
お葬式は「準備ごとではない」という基本的な考えが有ります。
お通夜やお葬式に駆け付ける場合に時間が無ければ、
「地味な色の服装」「出来るだけ黒色の上着とボトムス」「男性は黒ネクタイ」で有れば、本来は大丈夫です。
*このような服装は「略喪服」とも呼ばれていますので、「喪服の1種」です。
👆こちらは、私がお通夜に参列した時の服装です。
たまたま全体が地味な色で、グレイのジャケットにダークブルーのパンツ、グレイのシャツでした。
黒のネクタイを用意して駆け付けました。
*法事も、
3回忌以降の法要は、気にしすぎることは有りません。
施主(法事を行う側)や周囲の参加者から、「ブラックスーツでなければ非常識」と思われる訳ではありません。
*気になる場合は、他に出席される親戚などに「どんな服装で行くのか?」を質問して、周囲に合わせれば良いのです。
以上、参考になりましたでしょうか?
仏事に関すること含めて、気になるトピックスを色々とまとめています。
良かったら、ほかの記事も読んでもらえると嬉しいです。
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